「夏の制服事情」

学校関係者向けコラム
2024.09.04

今年も記録的な猛暑が到来しています。観測史上最も暑かった昨年を上回る暑さで、40℃を超える酷暑を記録した地域もあります。 日本の平均気温は100年あたり1.35℃の割合で上昇していて、東京の約20年前の8月の平均気温が26℃程度だった事を考えても、10~20年前とは明らかに暑さのレベルが異なっている事がわかります。9月以降も厳しい残暑が続く事が予想されますので、万全の暑さ対策を講じる必要がありそうです。

  • 変化する制服事情

世界的な気候変動は学校生活や学生服にも少なからず影響を与えています。顕著な例の一つが「衣替え」です。制服の衣替えの移行時期に幅を持たせたり、衣替えそのものを撤廃しているケースもあります。制服の自由化をしたり、体操服などでも通学できるようにしている学校もあります。夏を快適に過ごすという観点のみならず、熱中症対策や生徒の健康管理、安全性を保つ事を目的として、柔軟な対応を行う傾向が高まっています。

制服に対してもより高い機能性が求められており、夏場は特に汗対策や透け防止に加えて、涼感を意識したサマーアイテムを導入する学校も増えています。

  • 学生が持つクールアイテム

教室にエアコンを導入している学校も増加はしているものの、通学の時間帯や体育の授業、クラブ活動の時間帯等、一日を通しての暑さ対策が必要になっています。

日本では古来より、夏場は打ち水をしたり、簾やよしずの活用、風鈴の音で涼を感じるなど暑さを軽減する工夫を凝らしてきました。現代の学生達も様々なクールアイテムを使って、暑さ対策を行っています。通学時に利用するものとしては、日傘やハンディファン(手持ち扇風機)等が人気です。日傘は元々女性が使うものというイメージが強いアイテムでしたが、強い日差しを避けるアイテムとして男性の愛用者が増加しており、「日傘男子」なる言葉も話題となっています。また、若者に大人気のハンディファンですが、使用を禁止している学校もあるそうです。高気温での利用はかえって熱中症の危険を高める場合もあるそうですので、保冷剤を併用する等安全に配慮し、校則の範囲内で取り入れたいですね。また、通学時のランドセルやリュックの背中部分が蒸れてしまうのを防ぎ、体感温度を下げる為の冷却パッドや冷却プレートの人気も高まっています。その他、汗拭きシートやネッククーラー、冷感ミストも人気です。特に、電源を必要としないクールアイテムは、学校生活でも取り入れやすいと言えますね。現代のテクノロジーを駆使し、校則の範囲内で使用可能なサマーアイテムを上手に活用し、学校生活を快適且つ安全に過ごせるのが一番です。

  • 導入の多いサマーアイテムの紹介

様々なサマーアイテムがありますが、ここで実際に導入されている制服に纏わるサマーアイテムをご紹介します。最近は夏の制服にポロシャツが採用されるケースが増えています。ポロシャツは通気性・吸汗性・速乾性に優れているものが多いです。お手入れが簡単な点は保護者にとっても嬉しいメリットと言えます。夏場は特に気になる「透け」を防いだり、カジュアルに転び過ぎないようにと紺色のポロシャツが特に人気です。

また長ズボンは暑いとハーフパンツを導入される学校もありますが、素肌に直射日光を浴びる事を避けたいと敢えて長ズボンを選択する考え方もあります。どちらにしても、生徒や保護者にとって選択肢が増えるのは良い事ですね。

瀧本株式会社の基幹ブランドである「スクールタイガー」では制服の生地の一部(例えば首元等)に接触冷感テープを使用する等、資材をうまく活用する事で、より快適に夏を過ごせる制服をご提案しています。それぞれの学校らしさや学生らしさを保ちつつ、着用する学生達がより快適に、そして安全に学校生活を過ごせる一助となれば幸いです。

  • コラムニスト視点から見る、今後の展開

さて、昨今の猛暑を踏まえた夏の制服事情についてご紹介してきましたが、最後に夏の制服事情に関する今後の展開について考えていきたいと思います。現在、気候はもとより、世界情勢そのものが大きく変化を続けています。あらゆるジャンルにおいて多様性が叫ばれる中、制服の持つ役割にも注目が集まっています。

学校制服の機能性が進化する中、制服の存在価値も変化し続けています。学校や社会全体が多様性という考え方に対して柔軟になりつつあり、その傾向は制服にも及んでいます。制服は一見すると画一性や均一性の象徴の様にイメージされますが、制服の存在は決して多様性を否定するものではありません。寧ろ、制服があるからこそできることが沢山あります。以前にもコラムでご紹介しましたが、制服がある事で、生徒や保護者間の経済格差が和らぐ効果もありますし、色々な意味で生徒を守る存在でもあります。テクノロジーの進化や新素材の導入によって、機能性も日々高まっています。この夏、まだまだ暑い日々が続きます。急激な気候変動にも柔軟に対応し、常に様々な環境に適応するべく機能性・快適性に加え、ファッション性も高まった新しい制服の形が今後も期待できそうです。学校制服のこれからにも注目したいと思います。

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