ジェンダーレス制服 一人一人の着たいの為に

学校関係者向けコラム
2022.07.21

近年、SDGsやサステナビリティが大きく取り上げられ、人々の意識にも変化が現れてきました。ジェンダー平等やジェンダーレスな社会の実現が謳われています。LGBTQに対する世間の理解度も少しずつではありますが上がってきているようです。その過渡期において、制服はとても大きな役割を担っています。

LGBTQと制服を考える。

従来の制服は男子学生と女子学生のスタイルが明確に分かれているものがほとんどでした。トランスジェンダーの生徒にとっては、それだけでもかなり苦痛であったと想像できます。日本の社会では男性らしさ、女性らしさという概念が大切にされていた事もあり、LGBTQへの理解も欧米諸国等と比較すると遅れていたと言わざるを得ません。
多様性を認め「誰も置き去りにしない社会」を目指すにあたり、全国の学校においても「性の多様性に対応できる制服」が求められるようになりました。ジェンダーレス制服への需要が高まっています。

「インクルーシブな制服」という考え方

ジェンダーレス制服と言っても、例えばスラックスとスカートを自由に選ぶ事ができればすぐに解決すると言うような単純な問題ではありません。「トランスジェンダーに配慮した制服」と対象を限定する事が却って生徒を追い詰める場合もあります。まず大切なのは多様な選択肢がある事です。

トランスジェンダーに限らず、全ての生徒に多様な選択肢を用意する事がとても大切です。人の多様性とはジェンダーによるものだけではないからです。例えば寒さ対策や、動きやすさを理由にスラックスを希望する生徒もいます。
トランスジェンダーや性的マイノリティの生徒のみに特化するのではなく、全ての生徒に対し多様性を認める必要があります。具体的には、「考え方」「体型」「経済状況」「障がい」「肌の色」「国籍」など、あらゆる側面において多様性は存在します。そして、その多様性や価値観を認め合える社会である必要があります。そこでTAKIMOTOは制服にもそれらの考え方を取り入れた「インクルーシブ制服」という考え方にたどり着きました。あらゆる個性を多様性と捉え、それらを排除せずに受け入れられる制服を正面から考え、そしてそれを活用できる学校の環境づくりを大切にしていきます。

冬服はもとより、夏服も大切なポイントの一つです。先日、ジェンダーレスなデザインの学校用水着が話題になっていましたが、インクルーシブな制服の観点においても夏服の存在は重要なものとなっています。薄着になり、ジャケットが無い事で体型や下着等がわかりやすくなり、そういった事が苦痛であるという声も少なくありません。夏服は今まで見過ごされがちでしたが、単に冬服を薄着にしたもので良いわけではありません。ここにも多様な選択肢や工夫が求められています。性別による違いに苦痛を感じる生徒がいる以上、全生徒共通もしくは各自が自由に選択できるようにする方が望ましいですね。

また、選べる環境づくりも重要なポイントです。せっかく選択肢を用意していても、特別な申請が必要であったり、ジェンダーレス制服を選ぶ事自体がカミングアウトに繋がり、着たくても着られない生徒が出てしまうと元も子もありません。選択の自由が当たり前な環境づくりが必要です。

ジェンダーレスでインクルーシブな制服には保護者にとっても大きなメリットがあります。ジェンダーレスな制服であれば兄弟やお知り合いの男女間でのお譲りが可能となります。保護者への経済的な負担軽減にも繋がりますし、SDGsの目標実現にも繋がりますね。

誰もが着やすい・選びやすい。快適な制服の追求

ここで実例をご紹介したいと思います。TAKIMOTOではあらゆる多様性と共にあるために、トランスジェンダーに限らず「全ての生徒が快適に過ごせるような制服を」との想いをこめてジェンダーインクルーシブ制服の開発に力を入れています。

1つの方法や1つのデザインだけで全ての生徒に対応する事は困難です。だからこそ、上衣の仕様や男女兼用シルエット、様々なボトムスのバリエーションや、アイテムの組み合わせ可能な自由選択制度の導入など、あらゆるニーズに応えるアイテムや制度を準備しています。一人一人に丁寧に向き合い、誰もが望むスタイルで過ごせる環境づくりを目指しています。

例えば、好きな前合わせで着用できる前合わせ変更上衣であったり、男女兼用ブレザーにおいて身体のラインを隠すことだけに特化することなく、シルエットは勿論のこと、着心地の良さも損なわず、心身共に着やすい制服をご提案しています。
また、制服そのものだけではなく、採寸時の配慮も大切です。個室の採寸場所を設ける事や、生徒たちが要望を伝えやすい注文表を用意するなど、選択の時点からインクルーシブである事を心がけたいですね。

最後に

TAKIMOTOは「ジェンダーインクルーシブ制服」を通して、誰一人として置き去りにせず、一人一人の個性を多様性と捉える事を旨として、誰もが着やすく選びやすい、快適な制服の追求を続けていきます。文化としての多様性を重んじ、気持ちに寄り添い、全ての生徒達が自分らしく快適な学校生活を送れる事を目指して参ります。

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