文化ファッション大学院大学とのコラボレーション

学校関係者向けコラム
2021.07.05

BFGU学生服Project ~あたらしい学生服文化の創造~

制服を「選ぶ」から「創る」へ

皆さんは、全国15,000以上の中学校・高等学校で着用されている制服がどんな方法で選ばれるか知っていますか?
多くの学校では、【学校】と【制服メーカー】が決めるのが一般的で、その中でも学校内部の責任者や先生方で検討されています。
2014年から始まったこの企画では、【学校】【生徒】【若手デザイナー(BFGU:文化ファッション大学院大学)】の三者が直接話し合い、検討を重ねることで、「制服を採用する学校の考え」「実際に着用する生徒の想い」「若手デザイナーの生徒に近い感性」を盛り込んだ新制服を創り出すことができます。

文化ファッション大学院大学と瀧本で発足した「BFGU学生服Project」。第1弾として、岡山龍谷高等学校(次世代クリエイティブクラスのみ)の学生服の共同製作をスタートしています。ファッション系の大学で初めての大学院を設置した「文化ファッション大学院大学」は、デザインを学問として深く学んでいる学生が多く、新しい試みをどんどん取り入れていきたいという姿勢が強い大学。同じように新しいことへの取り組みを積極的に行っている瀧本とご縁があり、一緒に何かコラボできればという話になりました。

そのときに、ひとつのきっかけとなったのが、とある進学校の話題でした。当時その学校の中で問題になっていた携帯電話について、普通なら先生が取り締まりをして、決めたルールを生徒たちに伝えて指導するのが一般的ですが、その学校では、その問題について先生は一切口を出さず、生徒会で生徒だけによって討論が行われ、そこで決めたルールを先生に依頼する。つまり、すべてを生徒たち自身が自主的に動いて、自分たちの学校生活におけるルールを決めるというものでした。また、とある学校では、自分たちの制服は自分たちで運営しているという学校もありました。

その話を聞いて、自分たちもしくは、後輩たちのために一から制服をつくることで、自主性を育て、最終的には自分たちで制服の運営を行っていくことができるような人材育成に関われたらと考えました。また、そのデザインは、業者である我々ではなく、発想も近しく、将来デザイナーを目指し、専門的な勉強を行っている大学院生が中心となり、生徒たちが制服を「選ぶ」のではなく、自分たちで「つくる」ことをメインにした制服製作プロジェクトを立ち上げました。

現在、2回目のミーティングが終わった段階です。前回のミーティングを行う前、龍谷高等学校の生徒たちには、「今度のミーティングではどんなことでもいいので意見を聞かせてください。」とだけ伝えてありました。すると当日には、後輩たちにアンケートを取っていたり、先生方に情報を聞いていたり、校長先生にインタビューをするなど、とても真剣に自主的に取り組んでいて驚かされました。大学院生たちもその懸命さに感化され、とてもいい刺激を受けていたようです。

話し合いも、生徒ならではの目線が多々あり、我々メーカーとしても、とても興味深く、生徒たちの生の意見や感性などを知ることができます。また、デザイナーの卵である大学院生たち若手の感覚も直に触れることができ、それぞれに刺激を受け合いながら、良い関係性を築けています。瀧本としては、制服の品質や保証、生産部分だけを頭に置きながら、基本的にはその他のことには一切口を出さないスタンスで行っています。我々がデザインや仕様に関することに意見を出すと、それは結局、セールスのように流され、ただ選ぶだけの作業になってしまうと考えたからです。今回のこの取り組みでは、単純に制服を完成させることが目的ではなく、その過程がとても大切だと思っています。この経験により、生徒たちが自主性を育み、完成した制服を自分たちで運営してくれるようになればうれしいですね。また、学校側のメリットとして、その過程を記録した写真や議事録などをHPやオープンスクールなどで紹介することで、受験生に対して入学するきっかけになったりと、お互いにとって相乗効果が生まれればと思っています。

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