制服採用実績:大阪府柏原市立柏原中学校

制服採用実績
2023.12.19

1947年に柏原町立中学校として創立。
知・徳・体の調和的発達をとげ、心身ともに健全な人格の完成を目指して
(1)いつも深く考え、自ら進んで実行する生徒
(2)自らを信じ、他を敬愛することのできる生徒
(3)明るく澄んだ心と、強い身体を持つ生徒 の育成を学校教育目標に掲げておられ、地域の清掃活動や住民の訪問・学校開放など、地域に根ざした取り組みに力を入れておられる学校様です。

インタビュー

モデルチェンジのきっかけ

 開校して七十五年ほど経ちます。七十周年記念を五年ほど前にした際、その頃あたりから世の中がブレザー化の流れが進んでくる中で、本校は七十年詰襟・セーラーの改定が一度もありませんでした。
 また昨今の地球温暖化により、六~九月ぐらいまでが夏服と言われている時期がありますが、四・五月頃も非常に暑く、男子は詰襟を脱いだらカッターシャツになれますが、女子のセーラーは脱着が出来ません。生徒にとっても大きな負担になっているな、と感じるところがあり、校則を見直そうという流れが本校にもやってきました。靴下がどう、靴はどう、などありますが、子供たちにもアンケートを取っていく中で、制服に対する不満があるとの声を多く聞きました。
 じゃあブレザーになったらどう?というアンケートを取りましたところ「ブレザーがいい」という声が大多数を占めたことから当時の生徒指導主事が中心になり、勉強会などを踏まえた上で教員たちのコンセンサスも得て、当時の校長もやってみよう、ということで、市内の中で先駆的に(かねてからブレザー校だった学校もありますが)数年の中では当校が一番最初にモデルチェンジに取り組みはじめました。

制服に対する「不満の声」とは

 学年が上がるたびに、不満度が上がっているのが当時わかりました。特に冬服に対する不満度が高く、寒暖差の調整がしにくいというのも大きな理由でした。また多い方かもしれませんが、スラックスしか履きたくない、という女子生徒が十八人おり、そういった声も多く目立ちました。

モデルチェンジにあたっての課題・選考方法や選考ポイント

プレゼンテーションを2回に分けた意味は?
 当時一番最初にブレザーに関する勉強会を他メーカーさんに来てもらい、ブレザー化に至る流れなどのお知恵をいただく中で、職員もやっていこうかと士気を高めました。
 同時に色んな会社からプロポーザル参加の依頼を多数いただきました。どの会社を希望している、などはありませんでしたが、全部のプロポーザルを聞いていたら大変時間がかかってしまうため、選考の意思を確認する案内を出したところ参加の申し込みがあったのが五社。五社では少し多いため、まず書類を送っていただいて一次選考を行いました。その資料(価格帯も含む)を拝見し、三社まで絞り込みPTA・教職員の方で資料を拝見し、点数化。上位三社について二次選考という形で話を聞こうとなりました。

 二次選考については、検討委員会のメンバーを一次選考に比べ絞り込みました。一次選考は資料を職員室に置き、職員全員が拝見しそれぞれが採点をするという形でしたが、職員は三十人以上いるため全員がプロポーザルに参加するわけにもいかず、制服検討委員会という形でメンバーを厳選し、PTAの方を含めた制服検討委員会メンバーで二次選考を行いました。
選考方法は採点方式。特に着目したポイントは、基本は価格面でした。価格は上がってはならないと。また製品の特長も重要でした。他はアフターフォロー、サイズが変わったり修理が必要となったときの対応ですね。

男女同柄ではなく別柄であること、男女の性差をなくそうという話などは議題にあがりましたか?
 もちろん男女同柄にしようなどの話し合いはありました。ただ、男女同柄となると、女子のスカートが可愛くなくなるんですね。全体的に暗くなってしまって。当時瀧本さんが持ってきてくれたデザインが結構明るい印象で、それを見てPTAの方や教員も「あ、可愛いよね」と。男子はシックな感じになり、明るくて爽やかで清潔感のある制服になりそうだとの声がありました。
 しかし同一柄にしようかという話もあり、間を取ろうとどんどん(スカートとスラックスの柄を)寄せてくるんですが、そうするとお互いの持ち味がよくわからなくなってきて…。子供らに意見を聞こうということで、三タイプの制服を見せました。しばらく置いて投票をしてもらったら、女子は履きたいスカートは圧倒的に明るくて清潔なもの。という投票結果になり、それであれば男女同柄にする必要もないかという協議を経て、限りなく一緒じゃなくてもいいけど、極端に違うデザインもやめようという結論に至り、今のデザインに決定いたしました。

今回の採用ポイント

 正直申し上げると、どのメーカーさんもデザインに関しては差異がないと思っています。デザインはメーカー決定後でも協議の上で変わりますし、こういうの作れる?と聞けば作っていただけるかと。値段も皆さん努力できます、とおっしゃいます。
 ではどこで差別化が出来るか、と言いますと“モフクリア”という瞬間消臭の機能性。そこは大きかったかなと思います。
 またブレザーと言いますが、一番長く着ているのはポロシャツですよね。ポロシャツを着ている期間って四月ぐらいから十二月ぐらいまでと非常に長い。なので、ポロシャツの機能性がどうなのか、という点も重要でした。
 もともとブレザー化にあたりネクタイ・リボンは指導面・寒暖差の観点(首元の窮屈感)を鑑みていらないという話がありました。その中で瀧本のポロシャツはボタンダウン仕様で、ボタンダウンだとノーネクタイでもキリっとして見えていいよねとの声がありました。また刺繍などが可愛く入っていた点や、襟裏にギンガムチェックの別生地がついていたりと、これは他の会社にないぞと。デザインや仕様を含め、差別化の点では大きかったですね。

 また資料作成の上でも、瀧本さんが持ってきた資料には校区内をリサーチし、写真に撮って、という夜間の校区調査がありました。こんなこともしているのか、と。そういうことをしていたのは瀧本さんだけで、うちの校区もちゃんと調べてくれているんだなと。営業担当の方々も、非常に丁寧に、スマートに熱意をもって対応してくださった営業姿勢も信頼感がありました。
 デザインが決定したあとは、パネルと制服の四案を小学校含めて展示し、アンケートを取りました。そのアンケートで投票が最も多かったデザインを採用しました。

エンブレムコンテストの導入について

 当時の生徒指導主事の進め方もそうですが、せっかく変えるからにはみんなの意見を聞きながら、みんなで創り上げていく形を取りたかった。ですので小学校にも見本を置いてアンケートを取ったり、子供の意見を聞こうという形の中で、エンブレムのコンテストも出来ますよと言っていただいた。それじゃあエンブレムもみんなで考えてもらおう、となり、全校生徒に描いてもらいました。四・五十案に絞り込み、それを一覧にして投票をして決定しました。

新制服に対する評判

 セーラー・詰襟と着比べて着用しているわけではないので、悪い声はあまり聞きません。 毎日洗濯しなければいけないポロシャツにアイロンを充てる必要がない、というのは保護者からすると大きな負担軽減になっているのではと思います。素材も乾きやすいので、その点は非常にいいのかなと。
 着こなしはこちら側が想定していた以上に綺麗に着てくれています。男子はポロシャツをアウトで着ていますが、女子はスカートの中にインして、きっちり綺麗に着てくれている。一年生は二人だけセーラー服で入学されてきましたが、二年生は全員新ブレザーに変わった。
 また一年生はスラックスが三名ほど。スカートが嫌なのか、ジェンダーレスの観点からなのか…といった理由は聞いていません。また今の二年生ですが、一年の時にスラックスだったけど、二年生にあがって全員スカート着用になりました。年齢が上がるにつれ女の子らしい心の芽生えがあるのかもしれません。男の子っぽくしていた子だからスラックスを履いていたけど、体や心が成長していく中で、スカートを履いていきたいと思ったのかもしれません。

新制服を着用する新入生へメッセージ

 胸にあるエンブレムが、当時在校生がみんなで描いてみんなで投票して決めた、今後何十年も受け継がれていくエンブレムだということは、折に触れて継承していきたいと思っています。
 また男子はこれ、女子はこれ、というわけではなく、スカート・スラックス、男女含めて自分で着たいものを選べるようになれたということは大きなひとつの転換点かなと。学校が一方的に決めたわけでなく、色んな人の意見を吸い上げながらみんなで決めたプロセスがあります。学校生活を行っていくということは、制服も含め主体的に自分たちで考えながら、学んでいくということ。そういう中学校生活を送っていただけたらと思います。

ご採用年度(着用開始年度)

2021年度 春より

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